教育活動家〜いぬかい良成(公式ブログ)

〜30年後の子ども達の未来をDesignする教育活動家「いぬかい良成」〜

縁を生かす(心に響く小さな5つの物語より)

電車の中で読んでいた本の中で、感動し思わず1人で涙を浮かべちゃいました。

そんな物語をご紹介しますね。

〜縁を生かす〜

その先生が5年生の担任になった時、1人、服装が不潔でだらしがなく、どうしても好きになれない少年がいた。

中間記録に先生は、少年の悪いところばかり記入するようになっていた。

ある時、少年の1年生からの記録が目に止まった。

「朗らかで、友達が好きで人にも親切。勉強もよくできて将来が楽しみ。」とある。

間違いだ!他の子の記録に違いない!

先生はそう思った。

2年生になると

「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」

と書かれていた。

3年生では

「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする。」

3年生の後半では

「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」

とあり

4年生になると

「父は生きる希望を失い、アルコール依存症となり子どもに暴力を振るう」

先生の胸に痛みが走った。

ダメだと決めつけていた子が突然、

深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に現れてきたのだ。

先生にとって目を開かれた瞬間であった。

放課後、先生は少年に声をかけた。

「先生は夕方まで教室で仕事をするからあなたも勉強していかない?

わからないところは教えてあげるから。」

少年は初めて笑顔を見せた。

それから毎日、少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。

授業で少年が初めて手を上げた時、

先生に大きな喜びがわき起こった。

少年は自信を持ち始めていた。

クリスマスの午後だった。

少年が小さな包みを先生の胸に押し付けてきた。

あとで開けてみると、香水の瓶だった。

亡くなったおかあさんが使っていたものに違いない。

先生はその1滴を付け、

夕暮れに少年の家を訪ねた。

雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は

気がつくと飛んできて、

先生の胸に顔を埋めて叫んだ。

「ああ!お母さんの匂い!

今日は素敵なクリスマスだ!」

6年生では少年の担任ではなくなった。

卒業の時、

先生に少年から1枚のカードが届いた。

「先生は僕のお母さんのようです。そして、

今まで出会った中で1番素晴らしい先生でした。」

それから6年。またカードが届いた。

「明日は高校の卒業式です。

僕は5年生で先生に担任をしてもらって、とても幸せでした。

おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます。」

10年を経て、またカードが届いた。

そこには先生と出会えたことへの感謝と

父親に叩かれた経験があるから

患者の痛みのわかる医者になる。と記され

こう締めくくられていた。

「僕は5年生だった時の先生を思い出します。

あのままダメになってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。

大人になり、医者になった僕にとって、最高の先生は、5年生の時に担任してくださった先生です。」

そして1年。

届いたカードは結婚式の招待状だった。

「母の席に座ってください」

と1行書き添えられていた。

たった1年の担任の先生とのご縁。

その縁に少年は無限の光を見出し、それを拠り所として、それからの人生を生きた。

ここにこの少年の素晴らしさがある。

人は誰でも無数の縁の中に生きている。

無数の縁に育まれ、人はその人生を開花させていく。

大事なのは、与えられた縁をどう生かすかである。

先生って素晴らしい仕事ですよね。

私たちも人として人を幸せにする事ができるよね。

与える大きさと、受け取る素直な心をいつまでも大切にしていきたいと思いました。

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